令和2年4月7日(火)
- 2020/04/07
- 20:25
医療崩壊を防ぐには。
新型コロナウイルス患者の急増により、わが国でも医療崩壊の切迫性が指摘されています。
すでに世界全体で、6万人が死亡しています。
そこでそもそも、医療崩壊とは何かということと、それを防ぐための課題や対策について、意見を述べます。
ぜひご覧下さい。
そしてもしよろしければ、シェア・拡散をお願いします。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(令和2年=2020年=4月7日現在)
東京都議会議員 早坂よしひろ
医療崩壊を防ぐには Ver2
Q1 医療崩壊とは何ですか?
A1 患者さんの数が、治療に当たる医師や医療スタッフ、医療資源(病室・感染防護具・人工呼吸器など)の数を上回り、患者さんが必要な医療を受けられなくなる状態のことです。
Q2 都内の病院は最大何人まで新型コロナウイルスの患者さんを診ることが出来、あと何人まで余裕がありますか?
A2 実はこの把握は簡単ではありません。
都内の感染症指定医療機関(15病院)には118床、陰圧室が用意されています。
しかし全く足りず、換気の良い個室も使用していますが、それでも足りません。
そこで感染症診察協力医療機関(約80病院=非公表)などでも受け入れを行っています。
感染症の患者さんは個室管理が原則です。
しかし現在は病室が足りないので、新型コロナウイルスに感染している患者さんを集めて、4人部屋に入って頂いているケースが急増しています。
病室が足りていないので、新たな患者さんの受け入れが極めて困難になっており、20か所以上の病院に連絡してようやく収容先が見つかったというケースも報告されています。
小池知事は4月6日の記者会見で、現時点では1000床を確保しており、今後(いつまでにとは明言しませんでしたが)4000床を目指すと発言しました。
東京都では現在、5日間で2倍のペースで、患者さんが増えています。
このまま行くと、2週間後には1万人、1か月後には8万人となってしまいます。
病室が確保されても、医師や医療資機材が確保されなければ治療は行われないことから、あと何人まで余裕があるとは明言出来ないのです。
Q3 病室が足りないなら、ホテルなどの施設を借り上げて、そこで治療に当たれば良いのではないですか?
A3 はい、そうした方向に進んでいます。
新型コロナウイルス感染者は、感染症法第19条3項によって、たとえ発熱などの症状が無くても、他者への感染拡大防止を目的として(概ね2週間)隔離されます。
ちなみにその場合には、法による隔離のため、宿泊費も医療費もかかりません。
現在、新型コロナウイルスでの入院患者の大多数は、無症状または軽症の方です。
そこで厚生労働省は、そうした方には自宅や都道府県が用意する宿泊施設に移って頂き、病院のベッドを重症な患者さんのために空ける方針を発表しました。
東京都は4月7日から試行的に、無症状や軽症の患者さんを、借り上げたホテルに移転してもらうことを始めました。
宿泊施設に入ることを「宿泊療養」と呼びます。
ただし重症化するリスクの高い方(高齢者・基礎疾患を有する人・抗がん剤等を用いている人・妊婦など)は、例外とされています。
Q4 無症状または軽症の患者さんに、自宅や新たに設ける宿泊施設に移って頂くことに、何か問題がありますか?
A4
① まず、すべての無症状や軽症の患者さんに移転して頂くということではありません。
治療に当たっている医師の判断によって、患者さん本人の同意を得て移転を実施します。
移転して頂く患者さんには、保健所から出されている入院勧告の解除の手続きが取られます。
現時点では、入院からの移転先は宿泊施設のみで自宅はありません。
② 無症状や軽症といっても、他人にうつす可能性がありますので、移転先での防疫(感染症の予防)態勢は万全なものにしなければなりません。
自宅の場合、同居のご家族にうつしてしまうことが懸念されます。
そこで厚生労働省は自宅で注意すべき8つのポイントを示しています。
そうはいっても、やはり心配が大きいですから、今後移転する患者さんが増えた場合でも、可能な限り(自宅ではなく)宿泊施設に入って頂くべきです。
③ 病状は一般に、5段階で示されます。
無症状・軽症・中等症・重症・重篤です。
このうち軽症とは、酸素マスクを必要としない患者さんのことです。
つまり患者さん本人がかなり深刻なつらさを訴えても、酸素マスクを必要性の有無が、軽症かどうかの判断基準となります。
このように、症状の区分は一般の理解と医療界の理解が異なります。
また軽症者が短時間に重症化する例も数多く報告されています。
従って宿泊療養先での患者対応は、単にベッドを用意すれば足りるというものではありません。
医師や看護師などの医療スタッフ、あるいは感染防護具などの医療資機材の調達が簡単なことではないことはお分かり頂けると思います。
現在、宿泊療養施設には、医師も看護師も常駐する方針です。
④ 宿泊療養施設では、シーツの交換・部屋の清掃は、患者さん自身が行います。
食事は弁当が支給されます。現時点では相部屋は想定されておらず、すべて個室となります。
他人にうつす可能性があるため、面会は出来ません。
なお宿泊療養中の経費について(入院勧告は解除されていますが)自己負担はありません。
⑤ 今後、宿泊療養先となる施設は、風評被害などを恐れて、新型コロナウイルスの患者さんのために、施設をなかなか提供してくれないかもしれません。
総理大臣による緊急事態宣言が出されましたので、民間の施設であっても、都知事が臨時の医療施設として使用することが出来ます。
所有者が正当な理由なく同意しない場合は、同意なしで使用することが出来ます。
当然ながら施設側には、その対価が支払われます。
Q4 感染爆発(オーバーシュート)さえなければ、医療崩壊は起こりませんか?
A4 いいえ、一気に患者さんが増える感染爆発を待たずして、現況は医療崩壊寸前のギリギリのところにあります。
① 医師や看護師などの医療スタッフが罹患した例が数多く報告されています。
そうした場合、更なる感染拡大防止のために、濃厚接触者の検査を必要としますが、これには数日を必要とします。
また検査をせず、2週間経過観察のため自宅待機となることもあります。
この間、こうしたスタッフが欠けることによって、病院で外来診察や救急車の受け入れが2週間以上もストップした深刻なケースが、既に何件も起きています。
感染が疑われる患者さんが来院した場合、医師やスタッフは防護服を着て対応します。
しかしそうした患者さんがいきなり病院を訪れると、受付スタッフは防護服を着ていませんので、うつる可能性が高くなり、院内感染の危険性が増します。
従って、感染が疑わしいと思ったら、いきなり病院を訪れるのではなく、先ずは地元保健所か新型コロナコールセンター(℡0570-550571)に電話してください。
② 医師が新型コロナウイルスの感染リスクに高く晒される検査(例えば胃カメラ)や診察(例えばインフルエンザの鼻粘膜検査)が、急ぎではない場合に控えられるようになっています。
また新型コロナウイルスの患者さんに対応する医師が増えることで、その医師がこれまで担当してきた分野の診察が減っています。
これらのことは、患者さんにとって、必要な医療をいち早く受けられることとは逆の動きにあります。
③ 検査や診察に必要な医療資機材が不足していることで、必要な治療を行うことが困難になりつつあります。
④ 新型コロナウイルスは他人にうつりますので、陰圧室もしくは風通しの良い個室を使用するのが原則です。
また医師や看護師が感染防護服を着替えるための部屋も必要です。
従って、多くの物理的なスペースを必要とします。
このことは(新型コロナウイルスの患者さんの病室が足りないということ限らず)他の疾病の患者さんの病室も少なくなることを意味します。
つまりその影響は、あらゆる疾病の患者さんに及んでいるのです。
⑤ こうした状況下、医療関係者の疲労が積み重なっていますが、状況は厳しさを増すばかりです。
一気に患者さんが増える感染爆発(オーバーシュート)を待たずして、既にこうした危機的状況にあるのです。
ましてや今後、患者さんが爆発的に増えたらどうなるのか。
米国ニューヨークなどの状況を見ると、慄然たる思いを禁じえません。
⑥ これらの例を見てわかる通り、医療崩壊とは、病院側の危機である以上に、私たちが(新型コロナウイルスのみならず、その他の疾病でも)必要な医療を受けられなくなるという、都民側の極めて重大な危機なのです。
何としても、こうした事態は避けなければなりません。
Q5 医療崩壊を防ぐにはどうしたらよいですか?
A5
① 都民ひとりひとりが罹患しないよう、最大の努力を行うことです。
そのためには、外出後の丁寧な手洗い(20秒以上)が有効なことはご存知だと思います。
そもそも新型コロナウイルスの患者さんと接しなければ、かかることはありません。
しかし誰が感染しているかはわかりませんので、可能な限り外出を控え、接触する機会を少なくすべきです。
また他人と接する場合も、両手を拡げてぶつからない位まで十分な距離を保つべきです。
厚生労働省のホームページでは2メートル以上の距離が推奨されています。
② 新型コロナウイルスにかかっても、発熱や咳などの症状が見られない患者さんが多くいます。
このことは、無症状のあなた自身が今、罹患しているかもしれないということです。
たとえ無症状であっても、他人にはうつります。
従って、自分自身が罹患しているかもしれないと思って、出来るだけ外出を控えることです。
やむを得ない外出時には、マスク着用が、他人へうつすことの予防になります。
③ 現在試行的に行われている宿泊療養は、無症状や軽症の患者さんの感染初期のものです。
今後は、重症だった患者さんが回復後に宿泊療養に移転して頂くために、退院基準を緩和することも検討すべきです。
病室は最も深刻な患者さんのために使うべきです。
④ 新型コロナウイルスは感染症ですから、他人にうつります。
その医療的対応は、これまで述べてきたように、多くの物理的スペースや医療的資機材の必要性、院内感染や感染が疑われるスタッフの離脱リスクなど、とても厄介です。
しかし診療報酬は著しく低く抑えられています。
これでは病院は疲弊する一方です。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、社会全体に大きな経済的悪影響が及んでいます。
そのための様々な政策が打ち出されていますが、病院の財政的疲弊に関しての政策は、今のところ皆無です。
区市町村では独自の病院支援策を検討しているところもあります。
しかし患者さんの受け入れは、今後の患者数増加次第では、お住いの区市町村を超えて、広く東京都全体で行うべきです。
そうした場合、他の区市町村から送られてきた患者さんに、当該区市町村の税金を使うことには問題があります。
そこで、東京都が各病院への支援金を、区市町村を通じて配るのが理にかなっていると思います。
深刻な経営危機に直面している病院への支援はこれまであまり論じられていませんが、病院の経営維持のために喫緊の課題です。
⑤ 日本医師会は4月1日に「医療危機的状況宣言」を、また東京都医師会は4月6日に「医療的緊急事態宣言」を相次いで発表しました。
どちらも、医療崩壊ギリギリの状況だと悲鳴を上げています。
医療崩壊を防げるかどうかは、私たち都民ひとりひとりが、他人との接触の機会をいかに減らせるか次第です。
緊急事態宣言の期間である5月6日まで、皆さまの外出抑制を心からお願いします。
そして感染リスクと戦いながら懸命に治療にあたって下さっている皆さまに、深甚なる感謝を申し上げます。
新型コロナウイルス患者の急増により、わが国でも医療崩壊の切迫性が指摘されています。
すでに世界全体で、6万人が死亡しています。
そこでそもそも、医療崩壊とは何かということと、それを防ぐための課題や対策について、意見を述べます。
ぜひご覧下さい。
そしてもしよろしければ、シェア・拡散をお願いします。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(令和2年=2020年=4月7日現在)
東京都議会議員 早坂よしひろ
医療崩壊を防ぐには Ver2
Q1 医療崩壊とは何ですか?
A1 患者さんの数が、治療に当たる医師や医療スタッフ、医療資源(病室・感染防護具・人工呼吸器など)の数を上回り、患者さんが必要な医療を受けられなくなる状態のことです。
Q2 都内の病院は最大何人まで新型コロナウイルスの患者さんを診ることが出来、あと何人まで余裕がありますか?
A2 実はこの把握は簡単ではありません。
都内の感染症指定医療機関(15病院)には118床、陰圧室が用意されています。
しかし全く足りず、換気の良い個室も使用していますが、それでも足りません。
そこで感染症診察協力医療機関(約80病院=非公表)などでも受け入れを行っています。
感染症の患者さんは個室管理が原則です。
しかし現在は病室が足りないので、新型コロナウイルスに感染している患者さんを集めて、4人部屋に入って頂いているケースが急増しています。
病室が足りていないので、新たな患者さんの受け入れが極めて困難になっており、20か所以上の病院に連絡してようやく収容先が見つかったというケースも報告されています。
小池知事は4月6日の記者会見で、現時点では1000床を確保しており、今後(いつまでにとは明言しませんでしたが)4000床を目指すと発言しました。
東京都では現在、5日間で2倍のペースで、患者さんが増えています。
このまま行くと、2週間後には1万人、1か月後には8万人となってしまいます。
病室が確保されても、医師や医療資機材が確保されなければ治療は行われないことから、あと何人まで余裕があるとは明言出来ないのです。
Q3 病室が足りないなら、ホテルなどの施設を借り上げて、そこで治療に当たれば良いのではないですか?
A3 はい、そうした方向に進んでいます。
新型コロナウイルス感染者は、感染症法第19条3項によって、たとえ発熱などの症状が無くても、他者への感染拡大防止を目的として(概ね2週間)隔離されます。
ちなみにその場合には、法による隔離のため、宿泊費も医療費もかかりません。
現在、新型コロナウイルスでの入院患者の大多数は、無症状または軽症の方です。
そこで厚生労働省は、そうした方には自宅や都道府県が用意する宿泊施設に移って頂き、病院のベッドを重症な患者さんのために空ける方針を発表しました。
東京都は4月7日から試行的に、無症状や軽症の患者さんを、借り上げたホテルに移転してもらうことを始めました。
宿泊施設に入ることを「宿泊療養」と呼びます。
ただし重症化するリスクの高い方(高齢者・基礎疾患を有する人・抗がん剤等を用いている人・妊婦など)は、例外とされています。
Q4 無症状または軽症の患者さんに、自宅や新たに設ける宿泊施設に移って頂くことに、何か問題がありますか?
A4
① まず、すべての無症状や軽症の患者さんに移転して頂くということではありません。
治療に当たっている医師の判断によって、患者さん本人の同意を得て移転を実施します。
移転して頂く患者さんには、保健所から出されている入院勧告の解除の手続きが取られます。
現時点では、入院からの移転先は宿泊施設のみで自宅はありません。
② 無症状や軽症といっても、他人にうつす可能性がありますので、移転先での防疫(感染症の予防)態勢は万全なものにしなければなりません。
自宅の場合、同居のご家族にうつしてしまうことが懸念されます。
そこで厚生労働省は自宅で注意すべき8つのポイントを示しています。
そうはいっても、やはり心配が大きいですから、今後移転する患者さんが増えた場合でも、可能な限り(自宅ではなく)宿泊施設に入って頂くべきです。
③ 病状は一般に、5段階で示されます。
無症状・軽症・中等症・重症・重篤です。
このうち軽症とは、酸素マスクを必要としない患者さんのことです。
つまり患者さん本人がかなり深刻なつらさを訴えても、酸素マスクを必要性の有無が、軽症かどうかの判断基準となります。
このように、症状の区分は一般の理解と医療界の理解が異なります。
また軽症者が短時間に重症化する例も数多く報告されています。
従って宿泊療養先での患者対応は、単にベッドを用意すれば足りるというものではありません。
医師や看護師などの医療スタッフ、あるいは感染防護具などの医療資機材の調達が簡単なことではないことはお分かり頂けると思います。
現在、宿泊療養施設には、医師も看護師も常駐する方針です。
④ 宿泊療養施設では、シーツの交換・部屋の清掃は、患者さん自身が行います。
食事は弁当が支給されます。現時点では相部屋は想定されておらず、すべて個室となります。
他人にうつす可能性があるため、面会は出来ません。
なお宿泊療養中の経費について(入院勧告は解除されていますが)自己負担はありません。
⑤ 今後、宿泊療養先となる施設は、風評被害などを恐れて、新型コロナウイルスの患者さんのために、施設をなかなか提供してくれないかもしれません。
総理大臣による緊急事態宣言が出されましたので、民間の施設であっても、都知事が臨時の医療施設として使用することが出来ます。
所有者が正当な理由なく同意しない場合は、同意なしで使用することが出来ます。
当然ながら施設側には、その対価が支払われます。
Q4 感染爆発(オーバーシュート)さえなければ、医療崩壊は起こりませんか?
A4 いいえ、一気に患者さんが増える感染爆発を待たずして、現況は医療崩壊寸前のギリギリのところにあります。
① 医師や看護師などの医療スタッフが罹患した例が数多く報告されています。
そうした場合、更なる感染拡大防止のために、濃厚接触者の検査を必要としますが、これには数日を必要とします。
また検査をせず、2週間経過観察のため自宅待機となることもあります。
この間、こうしたスタッフが欠けることによって、病院で外来診察や救急車の受け入れが2週間以上もストップした深刻なケースが、既に何件も起きています。
感染が疑われる患者さんが来院した場合、医師やスタッフは防護服を着て対応します。
しかしそうした患者さんがいきなり病院を訪れると、受付スタッフは防護服を着ていませんので、うつる可能性が高くなり、院内感染の危険性が増します。
従って、感染が疑わしいと思ったら、いきなり病院を訪れるのではなく、先ずは地元保健所か新型コロナコールセンター(℡0570-550571)に電話してください。
② 医師が新型コロナウイルスの感染リスクに高く晒される検査(例えば胃カメラ)や診察(例えばインフルエンザの鼻粘膜検査)が、急ぎではない場合に控えられるようになっています。
また新型コロナウイルスの患者さんに対応する医師が増えることで、その医師がこれまで担当してきた分野の診察が減っています。
これらのことは、患者さんにとって、必要な医療をいち早く受けられることとは逆の動きにあります。
③ 検査や診察に必要な医療資機材が不足していることで、必要な治療を行うことが困難になりつつあります。
④ 新型コロナウイルスは他人にうつりますので、陰圧室もしくは風通しの良い個室を使用するのが原則です。
また医師や看護師が感染防護服を着替えるための部屋も必要です。
従って、多くの物理的なスペースを必要とします。
このことは(新型コロナウイルスの患者さんの病室が足りないということ限らず)他の疾病の患者さんの病室も少なくなることを意味します。
つまりその影響は、あらゆる疾病の患者さんに及んでいるのです。
⑤ こうした状況下、医療関係者の疲労が積み重なっていますが、状況は厳しさを増すばかりです。
一気に患者さんが増える感染爆発(オーバーシュート)を待たずして、既にこうした危機的状況にあるのです。
ましてや今後、患者さんが爆発的に増えたらどうなるのか。
米国ニューヨークなどの状況を見ると、慄然たる思いを禁じえません。
⑥ これらの例を見てわかる通り、医療崩壊とは、病院側の危機である以上に、私たちが(新型コロナウイルスのみならず、その他の疾病でも)必要な医療を受けられなくなるという、都民側の極めて重大な危機なのです。
何としても、こうした事態は避けなければなりません。
Q5 医療崩壊を防ぐにはどうしたらよいですか?
A5
① 都民ひとりひとりが罹患しないよう、最大の努力を行うことです。
そのためには、外出後の丁寧な手洗い(20秒以上)が有効なことはご存知だと思います。
そもそも新型コロナウイルスの患者さんと接しなければ、かかることはありません。
しかし誰が感染しているかはわかりませんので、可能な限り外出を控え、接触する機会を少なくすべきです。
また他人と接する場合も、両手を拡げてぶつからない位まで十分な距離を保つべきです。
厚生労働省のホームページでは2メートル以上の距離が推奨されています。
② 新型コロナウイルスにかかっても、発熱や咳などの症状が見られない患者さんが多くいます。
このことは、無症状のあなた自身が今、罹患しているかもしれないということです。
たとえ無症状であっても、他人にはうつります。
従って、自分自身が罹患しているかもしれないと思って、出来るだけ外出を控えることです。
やむを得ない外出時には、マスク着用が、他人へうつすことの予防になります。
③ 現在試行的に行われている宿泊療養は、無症状や軽症の患者さんの感染初期のものです。
今後は、重症だった患者さんが回復後に宿泊療養に移転して頂くために、退院基準を緩和することも検討すべきです。
病室は最も深刻な患者さんのために使うべきです。
④ 新型コロナウイルスは感染症ですから、他人にうつります。
その医療的対応は、これまで述べてきたように、多くの物理的スペースや医療的資機材の必要性、院内感染や感染が疑われるスタッフの離脱リスクなど、とても厄介です。
しかし診療報酬は著しく低く抑えられています。
これでは病院は疲弊する一方です。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、社会全体に大きな経済的悪影響が及んでいます。
そのための様々な政策が打ち出されていますが、病院の財政的疲弊に関しての政策は、今のところ皆無です。
区市町村では独自の病院支援策を検討しているところもあります。
しかし患者さんの受け入れは、今後の患者数増加次第では、お住いの区市町村を超えて、広く東京都全体で行うべきです。
そうした場合、他の区市町村から送られてきた患者さんに、当該区市町村の税金を使うことには問題があります。
そこで、東京都が各病院への支援金を、区市町村を通じて配るのが理にかなっていると思います。
深刻な経営危機に直面している病院への支援はこれまであまり論じられていませんが、病院の経営維持のために喫緊の課題です。
⑤ 日本医師会は4月1日に「医療危機的状況宣言」を、また東京都医師会は4月6日に「医療的緊急事態宣言」を相次いで発表しました。
どちらも、医療崩壊ギリギリの状況だと悲鳴を上げています。
医療崩壊を防げるかどうかは、私たち都民ひとりひとりが、他人との接触の機会をいかに減らせるか次第です。
緊急事態宣言の期間である5月6日まで、皆さまの外出抑制を心からお願いします。
そして感染リスクと戦いながら懸命に治療にあたって下さっている皆さまに、深甚なる感謝を申し上げます。